はじめての書類選考通過

書類選考に落ちてから数週間、何回も書類選考に落ち続けました。

書類選考ってここまで落ちるものだっけ?と思わされるほど何回も落ちました。学生時代の就職活動でもここまで連続で書類選考に落ちたことはありません。明らかに状況が違います。

そんな中、1社だけ初めて書類選考に通過することができました。「書類選考って絶対に通過できないんじゃないか」と思った矢先の出来事です。まだ書類選考の通過でしかないのに、まるで内定が出たかのごとくうれしかったです。

書類選考に通過すると、次は1次面接とのことです。しかしここで問題発生です。エージェントから面接日を選ぶように促されているのてすが、選択できる日時が平日しかありません。もちろん、平日には仕事があります。

すぐさまエージェントに泣きつきましたが、こればかりは仕方がありませんと言われました。仕方がないので体調不良で無理やり休むという強硬手段を取ることにしました。転職活動ってこんな平日の面接が延々と続くのでしょうか?早くも不安になってきました。

しかしながら面接日がやってくると、そんな不安を感じている余裕はありません。目の前の面接に対する緊張感でいっぱいです。

面接会場へ向かっていく途中、仕事を休んだことへの罪悪感と転職の面接を実際に受けに行く背徳感を覚えました。ログでもない環境だからこそ転職活動をしているのですが、こういった気持ちは湧いてくるんですね。

また、途中の街並みを見ては妄想が捗ります。「もしも、これから受ける企業と縁があればこの光景が通勤風景となるのかな」などと思いながら、新鮮な街並みを眺めています。

志望企業の最寄り駅には、面接開始の40分前に到着しました。何かトラブルがあっても対応できるようにと家を早めに出ましたが、さすがにちょっと早すぎたかもしれません。時間を持て余しましたので、近くに見つけたコンビニで時間をつぶすことにしました。

ここでもまた、「あの企業に受かったら、仕事帰りにこのコンビニで何かを買って帰るのかな」などと思ってしまうわけで、何かと妄想が止まりません。

その日の朝食は食べてきたのですが、少し小腹が減っていたこともあり、牛乳とのど飴を買いました。本当は何か揚げ物でも買いたかったのですが、臭いが残ってはいけないと思い我慢しました。牛乳は、いつしかテレビで「気持ちを落ち着かせる効果」があると見たことがあったので買いました。のど飴は何となく声が透き通る気がしましたので買いました。

のど飴をなめながら時間をつぶしていると、のど飴をなめきる時間がかなり速いことに気づきました。やはり相当緊張しているみたいです。

そんなかんだしていると、面接開始10分前になりました。そろそろ向かおうかなと思い、面接会場である企業へと向かいました。

元気のないサラリーマンが面接会場が出てきた

志望企業が見えてきたなと思った矢先、その企業の入り口から誰かが出てきました。年齢は私と同じくらいでしょうか、パリッとした恰好をしています。直感的に私の前に面接を受けた求職者だとわかりました。

ただ、なんだかとても疲れているように見えます。パッとみた感じで疲れているとわかります。まあ、転職の面接を受けてきたのだからあたりまえだろうとも思いますが、とにかく顔に元気がありません。打ち負かされたような、あるいは失望したような。そういったネガティブな印象を受けました。

私とすれ違うとき、向こうも私が面接を受けに来た者だとわかったのでしょうか、すぐさま目をそらしてそそくさに去っていきました。とにかくヤバイ奴でした、見たまんま鬱です。同時に、私も面接が不安になってきました。

エージェントの事前連絡では、内線で人事の担当者を呼び出してくださいと言われていましたので、エントランスに設置された内線で電話をかけました。電話に出たのは男性で、どうやらその人が人事の担当者みたいです。しばらくするとその男性がやってきました、思っていたよりも若い男性が出てきました。面接日時のやり取りなどで名前だけは知っていたのですが、実際に直接会うのはこれが初めてです。

軽い挨拶と世間話を済ませると、さっそく面接を行う小部屋へと案内してくれました。普段は会議に使用しているようなサッパリとした小部屋です。この小部屋につくや否や、人事の担当者は配属先の面接官を呼びに行くやらで部屋を出ていってしまいました。

「どうぞ、会社のパンフレットでも読んでいてください」

そう言われて、会社のパンフレットをもらいました。中身をペラペラと読みましたが、ホームページに書いてある内容と大差ありません。特にめぼしい内容はなかったので、すぐに読むのをやめました。一応、それなりに会社のことは調べてきましたので準備はバッチリです。それよりも気になったのは、机に残された人事の担当者のクリアファイルに私の提出した履歴書と職務経歴書がコピーして用意されていたことです。

「そうか、これから面接されるんだな」

緊張はピークに達しようとしています。自分がどこにいるのかすらわからなくなりそうです。

とりあえず気持ちを落ち着かせつつ、ただただ面接官がやってくるのを待ちました。

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